スエズ運河の現状に関しては、最近、紅海でのイエメンの親イラン武装組織フーシ派による商船攻撃が原因で、いくつかの海運大手が紅海航行を見合わせるという動きがありました。具体的には、リベリア船籍の船舶がフーシ派の攻撃を受け、一隻はドローンによる火災が発生し、もう一隻はミサイルが命中したとの報告があります。これにより、マースクなどの海運大手が紅海航行を見合わせ、一部の船舶がアフリカ南端を迂回するルートに変更しています。
これらの攻撃と航路変更の影響で、スエズ運河を通航する貨物船と貨物の量が大幅に減少しています。国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、昨年12月初めからの2カ月間で、スエズ運河を通航する貨物船が39%、貨物トンベースで45%それぞれ減少しました。これにより、世界貿易の主要ルートが脆弱化している状況が示されています。
このような状況は、物流の遅延、経費の上昇、および迂回ルートを通ることでの温室効果ガスの増加など、さまざまな懸念を引き起こしています。スエズ運河を使う航路の減少は、世界中の物流や貿易に影響を与えており、船舶の運航計画や貨物の配送スケジュールに変更を強いています。
ヨーロッパ向けのコンテナを送る際の注意点と実務について
1. ルートの選定と計画:
- 近時のスエズ運河を巡る問題を考慮し、通常ルートよりも時間がかかる迂回ルートの使用が必要になるかもしれません。可能な限り、異なるルートの運賃、所要時間、および信頼性について比較検討してください。
- 迂回ルートを利用する場合は、追加される運航コストや運送時間を考慮に入れ、顧客や取引先に明確に伝えておくことが重要です。
2. 保険とリスクマネジメント:
- 追加のリスク(例えば海賊行為や紛争地域を通過するリスク)に対応するために、貨物保険の見直しを検討してください。
- 状況が変わる可能性があるため、定期的に保険内容を確認し、必要に応じて更新してください。
3. 通関手続きと規制の確認:
- EUへの輸入に際しては、関税、税金、規制の変更がないかを確認し、すべての通関手続きが正しく完了していることを確認してください。
- EORI番号を含む、必要な書類や証明書が揃っていることを確認し、EU内での通関手続きがスムーズに行われるようにしてください。
4. コスト管理と価格設定:
- 迂回ルートの使用やその他の変更による追加コストを把握し、適切に価格設定を調整してください。
- クライアントや取引先とコミュニケーションを取り、予想される遅延やコスト増について事前に情報を提供してください。
5. 代替輸送手段の検討:
- 状況によっては、海運以外の輸送手段(例えば空輸)が適切な場合もあります。コストと納期を考慮して最適な選択を行ってください。
- ただし、空輸は海運に比べて高額になる可能性があるため、コストと便益を慎重に検討してください。
6. 情報のアップデートとコミュニケーション:
- 最新の船舶運行情報、政治情勢、規制変更について常に情報を更新し、関係するすべての当事者(顧客、サプライヤー、物流パートナー)との間で情報を共有してください。
- 予期しない遅延や問題が発生した場合は、迅速に対応策を検討し、関係者に通知してください。
これらのアドバイスに加えて、特定の状況やニーズに合わせて、物流コンサルタントや運送業者と密接に協力し、最適な輸送戦略を策定することをお勧めします。
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